卒業

卒業。
おめでとう。

僕はちっとも卒業できないや、

卒業しないまま、
学校が閉校になるがごとく、
春休みにそのまま入っていくような、
そんな心持。

だれも来やしない学校に
他に行くところもなくて
教室に座って、
黒板をぼぉーっと眺めている。

チャイムが鳴ったら、ご飯を食べて、
チャイムが鳴ったら、学校から帰る。

のほほんとしたまま、
激流の中州に取り残されるごとく、
身の上が他人事のように見えるような、
そんな心持。

浮き輪は無数に飛んできた、
けれども、掴みもせずに、
濡れたくないって
言っていられやしないのに。

ヘリコプターが来てくれやしないか。
レスキュー隊が来てくれやしないか。

卒業式は予定に無い。
卒業しようにも、卒業式が来ない。

これからは、卒業を自分で、
決めなきゃいけないんだな。